食事の時間

食事の時間

食事の時間について、もう一つ心がけていただきたいのは、食事は太陽の出ているあいだにすませるということです。とくに夕食の時間には注意していただきたいと思います。現代人、とくに働き盛りの人は、仕事などでついつい夕食の時間が遅くなりがちです。残業が終わって家に帰るともう九時過ぎ、それから夕食という人も珍しくないでしょう。しかし、前著でも触れましたが、夕食は寝る五時間ぐらい前までにすませることが必要です。寝るときに胃に食べ物が残っていると、寝ているあいだに逆流が起き、肺炎や睡眠時無呼吸症候群を招く恐れがあります。そこまで深刻な状態にならなかったとしても、胃に食べ物が残ったまま寝ると、胃がもたれ睡眠の質が悪くなり、体の疲れを取りきることができないので、慢性的な疲労を感じるようになるでしょう。ですから夕食は、できれば六時、遅くても七時過ぎぐらいまでにすませる工夫を考えていただきたいと思います。こうしたお話をすると、夜遅くに自宅で玄米中心のきちんとした食事をするのと、早い時間に一般的な外食ですませるのとどちらが体にはいいのでしょう、と聞かれることがあります。

 

 

こうした選択は、 一見究極の選択のように思えますが、むずかしく考える必要はありません。家庭にきちんとした食事が用意されているなら、それをお弁当にしてもらうか、家とオフィスが近ければ、仕事の合間に食事をしにいつたん家に戻ってもいいでしょう。外食をするのであれば、おそば屋さんや和食のお店に入る。最近は自然食レストランも増えているので、そういうところを選べば問題はありません。よい店がない場合は、行きつけのお店に頼んで、玄米メニューを作ってもらうという方法もあります。ぜひ、ご自分のライフスタイルや環境にあわせて、続けられる方法をいろいろ考えていただきたいと思います。

 

こうした私の話を聞くと、患者さんのなかには「食べる楽しみがなくなってしまう」と、悲しそうな顔をする人もいます。でも、そうしたネガティブな考え方は、自分を不幸にするだけです。食べたいものを食べたいだけ食べることが本当に「食べる楽しみ」なのでしょうか?読者の方には、もう少し深く、食事と健康について考えていただきたいと思います。食事は私たちにとって、生きるために絶対に必要なものであると同時に、大きな楽しみの一つでもあります。若いときに読んだSF小説に、未来の食事はすべての栄養素が詰まった錠編になっているというものがありましたが、どれほど文明が進歩しても、人間はそんなことはしないと思います。日で楽しみ、鼻で香りを楽しみ、舌で味わい、満腹感を覚えるという喜びは何ものにも代えがたいものです。