野菜嫌い

野菜嫌い

ですから私は、嫌いだというものを無理に食べるように指導することはいっさいしません。とくに子供の好き嫌いを無理に治す必要はないと考えています。嫌いなもの、おいしいと感じられないものは、その人にとってよくない食べ物であるケースが多いからです。体はとても正直です。体によいものは「おいしい」と感じますし、体に悪いものは「まずい」と感じます。これは一種の自己防衛システムで小さい子供にとくに多く見られます。ただし、それがその食品に含まれる本来の成分を「まずい」と感じているのかどうかを見極めることは必要だと思っています。それを確かめるもっともよい方法は、できるだけよい食品をまず食べさせてみることです。最近は野菜嫌いの子供が多いのですが、それは、野菜が嫌いなのではなく、野菜に含まれている化学肥料や農薬を「まずい」と感じている可能性が高いと私は考えています。

 

 

その証拠に、無農薬で有機栽培された本当によい野菜を食べさせると、ほとんどの子供がおいしいといって、嫌いだったはずの野菜を食べてくれます。もし、お子さんのいる家庭で、野菜嫌いで困っているという方は、ぜひ一度本当にいい野菜を食べさせてあげてみてください。本当に良質な食品を食べても「まずい」と感じるようなら、そこにはその人の体にとってよくない何かがあるのです。長年にわたり多くの患者さんを診ていると、個人差はとても大きいものだということを痛感します。人は、同じ環境に住んでいても、メンタルな部分や、遺伝子の違いなどによつて、「健康に悪いもの」に対するキャパシティは一人ひとり違います。同じDNAをもつた一卵性双生児でさえ、誕生からこれまでの過ごし方によつて、「キャパシティの大きさ」は変わります。ですから、厳密なことをいえば、気候風土、飲む水の質、自分が受け継いできた遺伝子、現在の環境、生活習慣、精神状態など、さまざまなことをすべて考慮しなければ、本当にその人にとってベストな食事というのはわからないのです。でも、どんな人であつても、どんな環境であっても、本書でご紹介した食事法を守っていれば健康を害することだけはありません。それだけは、日米三十万人の胃腸を、データをとりながらつぶさに診てきた実績から、自信をもって申し上げることができます。

 

しかし、これはあくまでも「基本」です。これをそのまますべて、 一分の狂いもなく実践しなければ病気になるというわけではありません。動物食を週に三日食べても大丈夫な人もいれば、 一日でも体調に影響が出る人もいるというのが現実なのです。そうした個人差については、自分で自分の体の声に耳を傾けながら微調整していただくしかありません。そのときは、食べたいのか食べたくないのかという気持ちだけでなく、それを食べた後の自分の体調、ガスのたまり具合や便の状態など、体からのメッセージに耳を傾けることが大切です。まず「人間にとってよい食事の基本」を知り、そのうえで、自分の好みやキャパシティの大きさを検討するという体への思いやりこそが、食事を楽しみながら健康に長生きするコツなのです。