一種の味覚破壊

一種の味覚破壊

しかし、いくら大きな喜びだからといつて、快楽だけを常時追求するのはやはりよくありません。その快楽は、目や舌や脳といった、私たちの一部だけが感じているものだからです。その快楽の陰で、胃腸は大変な苦しみを背負わされているのです。おいしいステーキをたくさん食べたとき、胃腸がどれほどがんばってそれを消化しているのか。そのためにどれだけ多くのエンザイムが使われているのか。そのことに想いをはせてください。胃腸の苦しみを無視しつづけると、最後にその大きな代償が必ず回ってきます。「病気」は、体への思いやりをもたず、胃腸の声を無視しつづけた代償なのです。大切なのは、食事を楽しむ「心」と、食事を生命エネルギーに作り替える「体」とのバランスだと私は考えます。食事はおいしく、喜びを感じられるものでなければなりません。しかし同時に、体を養うに足る生命エネルギーに満ちたものでなければなりません。この二つはけっして矛盾するものではありません。本来生命体にとつて、おいしさを感じるものというのは、体にいいものであるはずだからです。しかし、幼いころから添加物入りの食事をしてしまつていると、体によくないものでも「おいしい」と感じてしまうようになります。

 

これは添加物による一種の味覚破壊です。本書を読んで、自分はエンザイムを含まない死んだ食品をおいしいと感じているな、と思ったら、過去の食生活を反省し、体を思いやった食事を心がけてください。半年から一年、エンザイム・セラピーにもとづく食事法を続けていると、あなたの本来の味覚、エンザイムをおいしいと感じる味覚が甦ります。ただし、嫌いなもの、まずいと感じるものを、体にいいからと無理して食べる必要はありません。人の体は一人ひとり違うからです。ボディ・エンザイムの量も、特定の食品に対する耐性も、遺伝子のON/OFFの状態も一人ひとりみな違います。小さいころから牛乳が大好きで、大人になっても飲みつづけているのに何ともないという人もいれば、たまに飲むだけなのに、すぐに腸相を悪化させたり、病気になつてしまうという人もいます。私の臨床データでも、とても面白い結果が出ています。

 

私が集めてきた「食歴調査」のデータによると、牛乳が原因で腸を患う人というのは、子供のころに牛乳が好きではなかつた人、大嫌いだつた人であることがほとんどなのです。好きじゃないのに学校給食で強制的に飲まされ、家庭でカルシウムが豊富なんだから好き嫌いをいわないで飲みなさいといわれ、そうやつて飲みつづけた結果、アトピー、クローン病や潰瘍性大腸炎、関節炎になってしまった人を私は何人も見てきました。